認証系の研究
スマートフォンの認証には,現在,パスワード,パスコード,認証パターン,指紋認証,顔認証が用いられています.パスワードやパスコードについては,ショルダーハッキング(肩越しに盗み見)により,難しいパスワード等を設定していても盗み見られてしまって,悪用される可能性があります.認証パターンについても,多くのパターンを登録できるわけでもなく,簡単なパターンになりがちです.指紋認証は特別なハードウェアが必要であり,誤認識や怪我などにより指紋が利用できないこともあります.顔認証には高精度なカメラデバイスが必要です.
こういったことから,別の「そのひとだけが持っているもの」による認証が求められていて,そのひとつとして,スマートフォンを動かすことによる認証があります.モーション認証やジェスチャー認証といいますが,スマートフォンを動かす方法は,同じ形状でも個人ごとに異なるので,その違いにより,他人を拒否することと本人を受け入れることを判定する認証になります.
また,特定の動きを記憶するのではなく,本人がスマートフォンを持ち歩いているだけで本人の動作パターンを獲得し,「本人が」スマートフォンを使う際には本人認証が終わっている,という状況も実現可能です.
この研究では,スマートフォンの動きを加速度センサーと角速度センサーによって取得して3次元空間上に再構成し,本人の特徴を獲得して,他人を拒否することと本人の動きを受け入れる判断を行います.加速度センサーや角速度センサーは,スマートフォンの基盤上に搭載されているため,そこから直接データを取得することはできませんが,測定用のスマートフォンアプリを作成し,取得したデータは機械学習や深層学習に用いて,本人の特徴を捉えます.
また,加速度センサーや角速度センサーは,MEMS(Micro Electronics Mechanical System)といって,半導体チップ上に機械部品を構成する大量生産が行われており,仕様には取得できるデータの範囲があり,その範囲内に収まった製品が出荷されていますが,一つとして同じものが存在しません.その微妙な違いを明らかにして,センサーの個体識別に使用する技術開発も行っています.
キーワード: モーション認証,動きの特徴抽出,動きの可視化,センサー,MEMS(Micro Electronics Mechanical System),個体識別
Keyword: Gesture authentication,personal characteristic extracting,motion visualization,sensor,MEMS(Micro Electronics Mechanical System),sensor identification